以下は、質疑応答の簡単な例を示します。

質疑応答の形式

質疑応答は、各チームが相手の立論に対して質問を投げかけ、それに応答することで議論を深める重要なセクションです。ここでは、否定側から肯定側の立論に対する質疑と、肯定側から否定側の立論に対する質疑を例として示します。


否定側からの質疑応答

否定側選手A:
「あなた方は死刑の廃止が誤判を防ぐために必要だと主張しましたが、無期懲役や終身刑でも誤判が起こり得ることについてどう考えますか?」

肯定側選手B:
「無期懲役や終身刑でも誤判の可能性はありますが、死刑とは違い、再審や赦免の可能性が残されているため、致命的な結果を避けることができます。命を奪う死刑とは性質が異なります。」

否定側選手A:
「しかし、無期懲役や終身刑で誤判があった場合、その人は一生を失います。それでも人権侵害ではないと言えるのでしょうか?」

肯定側選手B:
「もちろん、人権侵害は避けるべきですが、命を奪うという取り返しのつかない結果に比べれば、無期懲役や終身刑の方が救済の余地がある点で、まだマシであると考えています。」


肯定側からの質疑応答

肯定側選手B:
「あなた方は、死刑が社会の安全を保つための重要な抑止力であると主張しましたが、具体的なデータや研究に基づいた根拠を教えていただけますか?」

否定側選手A:
「確かに一部の研究では、死刑が犯罪抑止力として有効であることが示されています。特に、死刑の存在が犯罪者に対する強い警告となることで、最も凶悪な犯罪を防ぐ効果があります。」

肯定側選手B:
「しかし、死刑を廃止した国々で必ずしも犯罪率が上がっていない事例もあります。この点についてはどうお考えですか?」

否定側選手A:
「死刑廃止がすぐに犯罪率に影響を与えない場合もありますが、それはその国の他の治安対策や社会福祉制度が関係している可能性があります。死刑制度は、そうした他の要因と共に機能するものだと考えます。」


質疑応答のポイント

質疑応答では、相手の立論を深掘りし、矛盾点や不明確な部分を明らかにすることで、議論の焦点を絞る役割があります。質疑者は相手の主張を揺るがすための質問を投げかけ、応答者は自分たちの立論を守りながら説得力のある答えを返すことが求められます。双方がこのやり取りを通じて、議論をより深く理解し、強化することが可能です。