エニアグラムのタイプ2は、愛情と人間関係を何よりも大切にし、他者のニーズに応えようとする強い欲求に動かされます。エニアグラムのタイプの中では、最も思いやりと気配りを重視するタイプです。

  • 他者から愛される事
  • 関心を向けてもらう事

は、タイプ2にとって非常に重要な価値観です。

タイプ2は、人々との繋がりや感情的な絆を大切にします。タイプ2は、自分の気持ち「自分の気持ちは大事にしてはいけない」と思い込み、他者に何かをしてあげることで自身の存在価値を見出そうとします。

健全な状態のタイプ2は、無条件の愛を与え、自己犠牲的でありながらも自分自身の価値を認識し、周囲の人々に真の思いやりと支援をもたらします。

一方で、不健全な状態に陥ると、タイプ2は、自分の価値を他者からの承認に過度に依存し、自分に関心を向けてもらうように操作的になります。また、自分の愛情を受け取らない人を密かに人を傷つけます。

人物例…
竈門根津子/甘露寺密林(鬼滅の刃)、チョッパー(ワンピース)、ドラえもん、ミッキー/ミニー(ディズニー、黒柳徹子(女優)、テイラースイフト(歌手)、マザーテレサ、フィリピン

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タイプ2の全体像

タイプ2が、何事に対しても「人の役に立ちたい」「愛されたい」と感じがちなのは、常に他者との関係性や感情的なつながりを重視しているからです。

タイプ2は人々のニーズを察知し、応えることを重視しています。

根源的恐れ:ありのままの自分は誰からも愛されない

タイプ2は、「ありのままの自分では誰からも愛されないのではないか」という深い恐れがあります。

この愛されない恐怖は、単に他者からの好意を失うことではなく、自分の存在意義を失うことを意味します。タイプ2は、自分の存在が他者にとって不可欠でなければ、見捨てられたと感じるのです。

タイプ2は、常に他者のニーズを敏感に察知し、そのニーズに応えることで自分の価値を証明しようとします。

根源的欲求:愛されたい

この恐れを克服するために、タイプ2は「必要とされたい」という強い欲求を持ちます。

自分のことを後回しにして、他者のニーズに応えることで、自分が愛され、価値のある存在であると感じたいのです。

更に、この経験を繰り返すうちに、タイプ2は「自分は与える側の人間である」という意識を強く持つようになり、他者に尽くすことで自分の価値を確認しようとします。

自己犠牲的な行動の背景にあるのは、自分自身の存在意義の確認であり、その矛先は他者へと向かいます。

人生観:人から必要とされれば大丈夫だ

タイプ2は、「人から必要とされれば大丈夫だ」という声に従って、他者のニーズを満たして、必要な存在になることを目指します。誰かに何かをしてあげることで感謝と承認を得ようとするのです。

健全な状態のタイプ2は、周囲の人々が困っているときに自然に手を差し伸べ、適切にサポートします。相手の自立を促しながら、適度な距離を保ち、自然と多くの人達に貢献することができるようになります。

不健全な状態になると、タイプ2は共依存の状態になり、おせっかいになります。例えば、友人や家族が少しでも困っていると感じれば、無理をしても相手のために何かをしてあげたくなります。

このパターンが続くと、強い孤独感や自己否定に陥りやすくなります。必要とされることに固執するあまり、自分自身の健康や幸福を犠牲にしてしまうのです。

タイプ2の行動×態度

タイプ2は、周囲に温かく親密な印象を与える話し方をします。感情的で、常に人々のニーズに応えようと努めます。

  1. 優しい声色と共感的な話し方: タイプ2の声は柔らかく温かみがあり、話し方は相手の感情に寄り添うような共感的なトーンです。これにより、聞き手に親密さと安心感を与えます。
  2. 親密で気遣いのある態度:タイプ2は、温かい笑顔で相手の目を見て話します。相手の表情や態度に敏感に反応し、常に相手の気持ちを確認しようとする姿勢から、親密さと気遣いが感じられ、相手に愛情深い印象を与えます。
  3. 自己犠牲と過剰な親切さ:タイプ2は時に過剰に親切な態度を取ることがあり、特に相手のニーズに応えようとする際には自分の都合を顧みないことがあります。この自己犠牲的な態度は、他者との関係性を大切にし、愛されたいという強い欲求から来ています。

この行動パターンと態度は、タイプ2の核心的な特徴である「他者への思いやり」と「関係性の重視」を反映しています。タイプ2は、自分の価値を他者との関係性や他者からの承認に見出す傾向があるため、常に相手の反応を気にしながらコミュニケーションを取ります。

健全な状態のタイプ2は、これらの特徴を活かして周囲の人々に真の思いやりと支援を提供できます。一方で、不健全な状態では、過度の自己犠牲や相手への依存、操作的な行動につながる可能性があることに注意が必要です。

組織×お仕事編

献身家としての役割を担う

タイプ2は、教育者やファシリテーター、貢献者の役割を担い、人々の成長や組織の調和を促進する仕事でその資質を発揮します。相手の良いところを見つけて褒め、伸ばすことが得意です。

例えば、新人研修では、個々の参加者の強みを見出し、それを伸ばすようなフィードバックを提供することで、新入社員の自信と能力を効果的に向上させます。チーム内では、メンバー間の良好な関係構築に時間と労力を惜しまず、献身的な姿勢で場の雰囲気を明るくします。

タイプ2の好奇心と学習意欲の高さは、主に他者に向けられ、人々が喜ぶ姿を想像して、身を粉にして働くことも厭わないケースがあります。

人間関係を重視し、信頼される存在

タイプ2は、自分の利益よりも、人と人とのつながりを大切にします。実際に、面倒見がよく、自己犠牲を厭いません。

例えば、同僚が仕事上の困難に直面している際、寄り添って、精神的にも支えてくれます。

ポジティブな姿勢で皆を陰に日向に支える存在として、チーム内で重要な役割を果たします。会議やプロジェクトでは、各メンバーの強みを活かすような役割分担を提案し、チーム全体の効率と満足度を高めます。

高い対人スキルと献身的な姿勢

タイプ2は高い対人スキルを持ち、人々の成長のためなら時間と労力を惜しみません。例えば、部下のキャリア開発のために、業務時間外でもメンタリングセッションを行ったり、スキルアップのための学習リソースを積極的に共有したりします。

気配りが行き届き、人々の感情的なニーズにまで注意を払います。「人々を助け、成長を促す」をモットーに掲げ、個々の状況に応じた柔軟な対応を心掛けます。しかし、この献身的な姿勢が自己犠牲につながることもあるため、タイプ2の人が普段より口数が少なくなった時は、疲労やストレスのサインとして注意が必要です。

この仕事や組織での役割は、タイプ2の核心的な特徴である「他者への思いやり」と「関係性の重視」を反映しています。タイプ2は、自分の価値を他者の成長や幸せに見出す傾向があるため、常に周囲の人々のニーズに敏感に反応し、サポートを提供しようとします。

健全な状態のタイプ2は、これらの特徴を活かして組織内の人間関係を円滑にし、チームメンバーの成長と満足度を高めることができます。一方で、不健全な状態では、自己犠牲的な行動や過度の親切さが自身の疲弊やバーンアウトにつながる可能性があることに注意が必要です。自己ケアの重要性を認識し、適切なバランスを保つことが、タイプ2の長期的な貢献と健康のために不可欠です。

人間関係編

幼少期のタイプ2

タイプ2が献身的になる背景には、父親的な存在の影響が大きく働いています。自らが母親的な役割を果たすことで、父親的存在から守ってもらいたいと深層では願っています。タイプ2の人々は、態度には出しませんが、他者の世話をすることで、自身に関心を向けてもらうことを密かに期待しているのです。

このパターンは成人後も繰り返されることが多く、人間関係の形成に大きな影響を与えます。

タイプ2の人々の多くは、幼少期に親のしつけにプレッシャーを感じながらも、「いい子」であろうと努力した経験を持っています。特に、子供時代の環境にストレスが多ければ多いほど、この傾向は強くなります。「いい子」になることで、周囲の大人たちから愛情や承認を得ようとしたのです。

人間関係への影響

タイプ2は、お互いに感情を共有し、深い絆で結ばれた関係を求めます。相手のニーズを満たし、それによって自分も必要とされることが、タイプ2にとって非常に重要です。最初は温かく親切に接し、相手に本気になると献身的になり、一生懸命に尽くします。

タイプ2は相手のことを思うあまり、過剰に世話を焼いたり、アドバイスを多くする傾向があります。相手から見ると、タイプ2は思いやりがあり、温かく、信頼できる存在です。しかし、その反面、時に過干渉に見えることもあります。感情的な側面が強く表れ、相手の気持ちを察することに長けていますが、時に自分の感情を押し付けてしまうこともあります。

人間関係の落とし穴

タイプ2は、自分の事を後回しにしてまで、他者に尽くしてしまうことがあります。これが落とし穴になります。

愛情ゆえの行動が相手に重荷と感じられ、逆に距離を置かれてしまうこともあります。いわゆる共依存の状態です。

人間関係では、自分のニーズにも耳を傾けることが大切です。また、相手の自立性を尊重する姿勢が求められます。時に待つことも相手を支えることだと考えてください。

あなたの自然な思いやりの魅力が相手に伝わりやすくなります。感情的になりすぎず、適度な距離感を保つことで、相手は付き合いやすくなり、より健全な関係を築くことができるでしょう。

相手との関係性だけでなく、自分自身との関係性も大切にすることで、より深い絆と相互理解に基づいた人間関係を築くことができるでしょう。

健全度による違い

健全な状態

レベル1(最高の状態)
健全なタイプ2は、無条件の愛と慈悲の心を持ち、人々に対して深い共感を示します。自分自身を含め、他者の価値をありのままに認め、自らも愛されるに値する存在であると感じています。見返りを求めずに人々を支援し、他者の成長を心から喜びます。

レベル2(自己受容の状態)
自己価値をしっかりと感じつつ、他者に対して非常に親切で支援的です。人々のニーズを敏感に察知し、積極的に手助けを行いますが、その行動にはバランスがあり、他者の自立を促すことができます。他者との関係を築くことで、自分も豊かさを感じています。

レベル3(社会的価値の状態)
自己肯定感があり、他者を助けることに喜びを感じます。社会的に貢献したいという強い願望があり、そのために自己の能力を最大限に活用します。他者のニーズに応えながらも、自分の限界を理解し、無理をしない範囲で支援を提供します。

通常の状態

レベル4(不均衡の状態):
他者からの感謝や承認を求めるようになり、自分の価値を他者の反応によって確認しようとします。親切でありながらも、見返りを期待することが増えてきます。また、自分の助けが必要とされることを願い、周囲に対して積極的に関与しようとします。

レベル5(対人関係支配の状態):
自分が必要とされることに強い欲求を感じ、他者に対して過剰に介入しがちです。このため、無意識に他者に依存し、自分が助けることでその存在意義を確認しようとします。自分の感情やニーズを後回しにしてでも、他者のために尽くすことが多くなります。

レベル6(過補償の状態):
他者に認められたい、愛されたいという欲求が強まり、自分を犠牲にしてでも他者を支援し続けます。これにより、自分のニーズを無視し、感情的に消耗します。また、他者の反応が期待通りでないと感じると、傷つきやすくなり、自己価値感が低下します。

不健全な状態

レベル7(侵略の状態)
自分の価値を他者の承認に過度に依存するようになります。他者が自分に頼らなくなると感じると、執着的になり、相手をコントロールしようとすることがあります。また、自分が与えた愛情に見合う返礼がないと感じると、被害者意識を持ち、他者に対して批判的になります。

レベル8(妄想と衝動の状態)
自己犠牲が極端に強まり、他者に対して感情的に依存します。相手が自分に応じないと感じると、自己憐憫や強い嫉妬心に囚われることがあります。また、自分の存在価値を感じられなくなると、他者を利用してでも自分の価値を確認しようとします。

レベル9(最悪な状態)
完全に自己を犠牲にし、他者に尽くすことでしか自己価値を見出せなくなります。強い絶望感や無力感に苛まれ、極端な自己憐憫に陥ることがあります。この段階では、精神的・感情的な崩壊に至るリスクが高く、深刻な対人関係の問題が生じることがあります。

囚われ:プライド

タイプ2は「プライド」に囚われやすい傾向があります。自分の行為が他者にとって不可欠な存在であり、常に愛され、感謝されるべきだと感じます。逆に、自分が苦しい気持ちや本心は人には打ち明けられません。

自分ではプライドの高さを認識していないことが多く、むしろ「私は人にために何かをしてあげる側の人間である」と自分に言い聞かせることもあります。

タイプ2は「自分が他者にとって必要不可欠な存在でなければならない」と考えるため、そのプライドの奥にある不安や自己価値の低さを感じることは少ないです。しかし、健全な状態にあると、自分のプライドを素直に認め、自己価値を他者からの承認に頼らずに見出すことができます。

陥りやすい人生のパターン

タイプ2は「あるがままの自分では愛される価値がないのではないか?」という無意識の恐れに突き動かされる傾向があります。常に「自分は他者にとって必要不可欠な存在でなければならない」という想いを抱きます。他者のニーズを満たし、尽くすことで、自分は愛され、価値ある存在として認められると信じています。

成長への助言

タイプ2は、他者からの承認に頼らず、自分自身の内面に価値を見出しましょう。自分の長所を認識し、「誰かの役に立つこと」だけでなく、「自分らしさ」に価値があると理解することが大切です。

過度な自己犠牲を避けるために、健全な境界線を設定し、「NO」と言うことも自己ケアの一環として取り入れましょう。相手の自立を尊重し、必要以上に世話を焼かないよう心がけることも重要です。

他者だけでなく、自分のニーズにも耳を傾け、自己ケアの時間を確保し、自分の感情や欲求を素直に表現する練習をしましょう。これらを日々実践することで、タイプ2はより健全な自己表現と関係性を築くことができ、バランスの取れた人生を目指せるでしょう。