え?ディベートって口喧嘩じゃないの?相手を論破することでしょ?
とお考えの方へ
確かに、ディベートと聞くと「言い負かしあい」や「口ケンカ」をイメージする方も多いでしょう。
日本人にはディベートが合わないという考えを持っている方もいますね。
この手の質問ですが、私の答えはいつも一つです。
「やり方次第です」
ディベートは口ケンカか?
ディベートの指導者たちは、口を揃えて次のように説明します。
「ディベートは一定のルールの中で根拠に基づいた議論を行い、その説得力を競うため口ケンカではありません」
「ディベートはルールに基づいて議論や討論を行うため、口ケンカや言い合いではないのです」
ここで疑問が浮かぶかもしれません。
なぜルールがあると口ケンカではないのでしょうか?根拠に基づいた議論をすれば口ケンカや言い合いにはならないのでしょうか?
これらの説明が抜けているわけですね。
もし、ディベートが感情むき出しの言い合いになってしまったら、それは誰にでも起こり得ることです。人間ですから、感情が表に出るのは自然なことです。
だからこそ、ディベートでは「ルール」と「勝敗」を設け、賛成側と反対側がフェアな状態で議論できるようにしています。これが「競技ディベート」と呼ばれるものです。
競技ディベートの特徴
- ルール:タイムテーブル(時間、順番、役割)に従い、交互に意見を述べる
- 勝敗の基準:競うのは論理やスピーチ力であり、それを判定するのは第三者に委ねる
競技ディベートでは、目の前の相手を論破することではなく、ジャッジや観客に向かって議論を行います。自分たちの議論の方が優れていることを伝えることで、票を頂きます。
アピールします。対戦相手の顔を見ている余裕はなく、試合中は常に時間との戦いです。
ディベートはジャッジや聴衆に向かってスピーチを行うため、単なる口喧嘩ではありません。これを選挙や裁判に例えると分かりやすいでしょう。選挙において、立候補者は自分の政策やビジョンを有権者に向けてスピーチします。彼らは有権者の支持を得るために冷静かつ論理的に話を進めます。相手の政策を否定することはあっても、直接「あなたは間違っているから立候補しないでください」とは言いません。同様に、裁判では弁護士が裁判長や陪審員に向かって自分たちの論を展開します。弁護士たちは感情的な言い合いではなく、法律や証拠に基づいた論理的な主張を行いますが、相手の弁護士や検察に対して「私の意見が正しいので、身を引いてください」とは言いません。
ディベートも同じです。参加者は自分たちの主張をジャッジや聴衆に向けて行い、説得力を競います。そのため、ディベートは口喧嘩とは異なり、計画的で論理的な議論の場です。
相手を論破するのではなく、どうやって自分たちに投票してもらえるかを考えながら議論を進めます。
ディベートに興味を持つ人もいれば、縁がないと感じる人もいるでしょう。
即興ディベートワークショップでは、ディベートをゲーム形式にし、休日にみんなで楽しんでいます。学園祭の企画や大学の研究室のノリのようなものですね。

